外交敗戦―130億ドルは砂に消えた (新潮文庫)
「外交敗戦―130億ドルは砂に消えた (新潮文庫)」のレビュー・感想

【「省益あって国益なし」】
湾岸戦争において130億ドルという巨額の財政支援を行いながらも、世界からその対応を非難され続け、クウェートの感謝国リストにも挙がらなかった我が国日本。この「外交敗戦」を膨大な資料と証言を元に検証する、ジャーナリズムかくあれりとも言うべき、読み応えのある一冊。
「省益あって国益なし」。大蔵省、外務省、運輸省の間で繰り広げられた省庁間の争いに起因する政策意思決定の遅さと二元外交体制が、日本を国際社会の隅に追い詰めていく様が詳細に描かれている。また、平和憲法に縛られ、軍事的なところと紙一重...
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【縦割り外交の問題点を衝いた名作】
湾岸戦争が起こった当時、私はまだ小学生だった。湾岸で戦争が起こったということは当時ニュースで知っており、湾岸戦争のあらましについては後に様々な書籍を通して大体のことを理解したつもりになっていたが、本書を読んで湾岸戦争をめぐってここまで日本が迷走していたことを初めて知った。特に秀逸なのが、多国籍軍への資金援助についての日米蔵相会談が外務省を除外するという「ブラックボックス」の中で行われてしまい、その結果、円建てで支払うのか、米国以外の国家にも資金を提供するのかという論点がなおざりにされたことを...

【湾岸危機における日本の失策】
NHKの記者としてワシントン支局に勤めた手嶋氏による、ノンフィクション小説。湾岸危機から湾岸戦争にかけて、アメリカおよび日本での政策決定の様子が詳らかに描写されている。
2009年の現在までに、湾岸危機における日本の失策に関しては多くの論評が出ているし、また研究も進められてきた。しかし、十数年経った今でも、本書の中で指摘された当時の日本が抱えていた問題――省庁間対立、政治家による官僚指導力の欠如、無責任な野党、支柱となる国策の不在、原則論に迷走して実質的議論のできない国会―― これらは、...

【日本人の外交とは】
1兆6千億という巨額の資金提供をしたアメリカが湾岸戦争に勝利しても、日本は何一つ得られなかった。
この歴史的な敗戦を明らかにしたことに本書の意義があり、これ以上の類書はない。
取材源が偏っているといった印象はあるものの、本書の価値が減るものではないだろう。
「日本の外交力」が低いとはかねてから言われており、国民一般も薄々そのことに気づいている。
ODA等、世界中に金をばらまきながら、北朝鮮、米国、中国といった国との交渉で優位に立った気配を微塵も感じないのはなぜか。
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