風天 渥美清のうた (文春文庫)
「風天 渥美清のうた (文春文庫)」のレビュー・感想

【名前をいくつかお持ちになっていた 田所康雄という方】
没後十余年経つが 渥美清という方への興味は今なお失せない。
本名 田所康雄、 芸名 渥美清 役名 車寅次郎という3つの人格があった。僕は 渥美清イコール寅さんという時代を過ごしてきた。そのころの渥美清は 「男はつらいよ」以外の映画にはほとんど出ていた印象がない。今 思うと「八墓村」で金田一耕助を演じたこともあったわけだが例外と言って良い。渥美自身も国民的映画のイメージを壊さない為に 車寅次郎の中に自分を封印していたということなのだと思う。
では その田所康雄とは...
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【まさにフーテン、自在かつ、あたたかい】
渥美清は私生活を明らかにしなかったことで知られる。その彼が、生前「俳句」をつくっていた。しかも「句会」にも出ていた――。俳号は「風天」。
生前そのことを知った著者は、渥美清の死後、「厚いベールに包まれた渥美清の心象風景を覗いてみたくなって」(本文より)風天俳句探しの旅に出る。
晩年、句会でつくった俳句だけでなく、若い頃につくった句なども合わせて221句が、著者やその周辺の人の感想と合わせて収められている。
句風は、まさに自在。山頭火のような無季語、自由律俳句もあれば、本来...

【俳人渥美清に眼を見張る】
優れた俳優であった「瘋癲の寅さん」こと渥美清に、このように素晴らしい俳人としての側面があったことを知り驚きました。著者は渥美清の俳句を丁寧に発掘し、心優しく紹介しています。その過程は良質な推理小説を読むような、心地良さに溢れています。自由でのびやかで、あの山頭火にも迫りそうな俳風の高みには率直に感動しました。
中で、私が一番好きな句を紹介します。
赤とんぼじっとしたまま明日どうする
俳句を心しながらそのたんびに挫折してきた自分が情けないです。
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