漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか? (光文社新書)
「漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか? (光文社新書)」のレビュー・感想

【漢字文化を理解するための最高水準の啓蒙書】
まさか40年以上前の学校時代の漢文を思い出すことはまずないと私は思っていたが、バンコクで猛烈な下痢になったときは別であった。漢方薬系の下痢止めを手にしたら、説明書がすべて中国語で書かれていたのである。必死になって漢文を読み下し、処方量や時間を間違えることなく急回復した。あのときほど漢文に感謝したことはなかった。帰国の便で、機内で香港の新聞を手にしたら、わりとすらすらと内容がわかる。アジアの旅行・生活では漢文は共通財産であることを何度も実感するが、本書は日本史を語りつつ、数千年の尺度で漢字の...
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【漢文が構築した日本の基礎】
漢文、がいかに日本の基盤となっているかを説いた本。
読んでいて面白い。
まあ古代は漢文が主流だったということぐらいは知っていたが、近世あたりでも十分力を持っていたというのはなかなか驚き。
古代も、いかにして漢文が吸収されていったか、などは興味深い。
個人的には、明治維新のころ、西洋の用語を日本語に訳すとき、たくさん新しい日本語が作られたが、その訳語の決定のために漢文の力が大きかったということ。
例えば中江兆民は、訳を作るためにわざわざ漢文を習いなおしてい...

【4章までで、十分の価値あり。5章以降は読まなかったことにします。】
前半が面白かった。特に3章までは叙述も緊密で、古代日本への漢字の伝来、装飾としての使用、4C頃からの「日本漢文」の形成、漢文訓読の始まりについての推論、奈良期の漢字文化導入熱などが分かりやすく概説されている。続く4章「漢文の黄金時代」は奈良・平安期を扱い、トピックスが羅列されたような構成のため少々散漫な印象もあるが、内容は興味深い。しかし中世から近現代までを扱う5章以降には漢文の果たした役割の重要性、漢文を消化吸収した日本文化の優位性を訴えるあまり、「ハァ?」な記述が目立ち出す。
例えば昭...

【見えないものに気付かされる】
普段何気なく使っている漢字,そして日本文化の成り立ち,そんなごく当たり前の事柄の奥には長い歴史の積み重なりがあることに,改めて驚かされる書である.ともかく全編が面白く読めた.伊藤博文や乃木希透典も漢詩を作り,大正天皇にいたっては千数百首を詠んだというのだからびっくりである.
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